サイナスリフトとは、インプラント治療をするときに、上顎の骨が薄く、そのままでは治療が困難なときに実施される手術です。骨の厚みを増加させる方法で、日本語では『上顎洞挙上術(じょうがくどうきょじょうじゅつ)』と言われています。「上顎洞」とは上顎奥歯の上、頬の内側にある空洞のことで、鼻の周囲にある空洞の1つです。サイナスリフトは、この上顎洞部分にアプローチします。
サイナスリフトは外科手術となります。以下の手順で手術は行われます。
麻酔は局所麻酔を使用します。全身麻酔ではないので、日帰りで実施されます。麻酔の方法は抜歯などのときと同じく麻酔液を注射することによっておこないます。多くの場合、注射の前に表面麻酔を実施しますので、注射時の痛みは軽いでしょう。
麻酔が効いたら、次に切開をおこないます。サイナスリフトは歯茎の側面(頬側)からアプローチをします。メスで切開して、骨が見えるように露出させます。
骨を露出させたら、一部分を切り取ったり、削ったりして窓を作ります。顎骨と上顎洞の間には、「シュナイダー膜」という粘膜があり、作った窓からシュナイダー膜にアプローチできるようになります。このシュナイダー膜は非常に薄く、アプローチするときには細心の注意が必要です。
次は、シュナイダー膜を特殊な器具で上部に押し上げて、骨補填材を充填する作業をおこないます。骨補填材は人工骨の場合が多いですが、自家骨(自分の骨)を採取して使用する場合もあります。サイナスリフトは、この骨の充填が多くできることに特徴があります。
骨充填が完了したら、歯肉を縫合して骨が定着するのを待ちます。期間は6ヶ月程度かかる場合もあります。骨が増えたことを確認できたら、インプラントを埋入します。ただ、症状によっては、サイナスリフトと同時にインプラント埋入も行える場合もあります。
糖尿病の方でも、
可能性はゼロではありません。
すべての糖尿病の患者さんが、インプラントを断られているわけではありません。郡山ファースト歯科矯正歯科でも、糖尿病の方のインプラント治療の実績があります。
ただし、健康な方と比べて治療のリスクが高いのも事実です。
血液をサラサラにする薬などを服用している場合は、手術のリスクも高まります。
いずれにせよ、通常よりも高難度の手術になることが予想されます。さまざまなケースに対応できる歯科医院に相談するようにしてください。
監修:郡山ファースト歯科矯正歯科 伊波良将院長(歯科医師)
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上顎の顎骨は下顎と比較して薄くなっています。そして、歯を失ってしまうと、噛む刺激がなくなりその部分は骨吸収と言って、さらに薄くなります。そのため、サイナスリフトのような手術が開発されました。骨の量が少し足りないだけであれば、ソケットリフトと言ってインプラントを埋入する穴からアプローチする方法もあります。一方で、サイナスリフトは骨が大きく足りない場合や、隣接して数本のインプラントを埋入するため、広範囲に骨を増やす必要がある場合に適応される方法です。
当サイト監修
「郡山ファースト歯科矯正歯科」による
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サイナスリフトの最大のメリットは、骨の量を大きく増やせることです。この方法が開発される以前では、インプラントが不可能だったケースでも治療できるようになっています。
前述したようにシュナイダー膜は非常に薄いです。サイナスリフトでは、窓を作り術野を目視できるために、傷つけやすいシュナイダー膜も目で見ながら処置するので安全性が高いです。
サイナスリフトは歯肉の切開や骨を削るなどの処置があるため、身体への負担は大きくなります。術後に腫れや痛みが出ることも多いです。
手術後にインプラントを埋入できるまでの期間があるため、治療期間が長くなってしまいます。
サイナスリフトは、ほかの骨造成方法に比べて技術が必要と言われています。実施していないクリニックもありますので、「インプラント治療は難しい」と言われた場合でも、骨造成法の実績が多いクリニックに相談してみることをおすすめします。